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ふたつ目の朝が来ました。
おなかはペコペコでした。
警備員のおじさんが、見かねてパンをくれました。
けれどもアイは、少しも口にしませんでした。
みつっめの朝が来たとき
おばあしゃんにもらわれていく前の飼い主が来て、
だきかかえて、おばあしゃんの家に連れて行かれました。
おばあしゃんの家には見たことの無い人たちが、たくさんいて
荷物を運び出したりしていました。
アイは鎖につながれました。
えさを出してもらうと少しだけ食べることができました。
おばあしゃんは、帰って来ません。
朝になるとアイは、おばあしゃんに会うため無理やり首輪を引きぬくと
病院に向かいました。
病院に着くと、入り口の前で、ペタンとお座りをしました。
おばあしゃんはでてきません。
夜になり、朝が来てお日様が沈みかけた頃、
前の飼い主が、再び来て
おばあしゃんの家に連れて行かれました。
「もう、おばあさんは帰ってこないんだよ。」
そういいながら頭を撫でましたが
アイには何のことか、さっぱりわかりません。
「荷物が片付いたらうちに行こうね!」、、、といいました。
でも次の朝が来ると
またアイは病院にいきました。
そして、おばあしゃんを待ちました。
今度は警備員のおじさんが近づいてきて、
「またきたか?おばあちゃんは居ないんだよ、よしよし!」
と言って頭を撫でましたが、
アイは、おばあしゃんに頭を撫でてもらいたい、
おばあしゃんの匂いをかぎたい、、、
そう想うばかりでした。
夜になるとまた、おばあしゃんの家に連れ戻されました。
そんな毎日が、何度か繰り返されたある日
アイは、おばあしゃんの家の近くで車にはねられてしまいました。
アイは耳が遠かったので、クラクションの音に気づかなかったのでした。
車はそのまま走り去っていきました。
アイの後ろ足は片方が折れています。
おなかのあたりが激しく痛みました、、、が
必死の思いで、おばあしゃんの家に戻りました。
おばあしゃんの家の門の中にたどり着くと、
もう、、、動くことはできませんでした。
たまたま荷物を片付けに来た人が
見つけて、そばにある毛布をかけてくれました。
誰か家の人を呼びに往きました。
アイはもう、ほとんど虫の息でした。
アイは夢をみていました。
おばあしゃんの夢でした。
おばあしゃんの腕での中で
頭を撫でられる夢でした。
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