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でも凄いのは、わたしが彼のことを知る以上に、彼はわたしを見てくれたこと。
わたしの知らないわたしのことも、見てくれたこと。
ある日、わたしは家庭内別居に疲れ、とても元気をなくし、弱気になっていたときのおしゃべりだった。
『あのね、達也さん、わたし今日少し元気がなくて。』
『どうした?』
『ぅぅん、だいじょぶ、ただ…いつものように元気におしゃべりできなさそうなの。』
『人間誰だってそんなのあるよ、きにしないでいいと思う^^無理した夏さんは逆にイヤだなぁ。』
『せっかく楽しい時間なのに、イヤじゃない?』
『全然^^ 人間さ、色んな面があってその人である、わけでしょ?そこが魅力だしさ♪』
『イヤなところも?』
『夏さんの例えば弱いところ、ズルいところ、はさ、イヤなところじゃないんだよ。個性なの。夏さんの個性は、俺がちゃんとわかってるから、必要以上に気を使うことはない^^』
捻くれた考え方をしたら、きっとキリがない。
バーチャルだから。
コトバならどうだって言えるから。
そう思えばいくらでも疑えるし、不信にだってなれるけれど、彼は毎日おしゃべりしてくれて、辛い時は朝方まで付き合ってくれる。
わたしが泣き止むまで、優しい言葉をたくさんくれて、ただ励ますだけじゃなく、あやすだけじゃなく、わたしの悪いクセをも全て包んで軽々と抱っこしてくれる。
そんなはずない、っていう、頑固な心も、時間をかけて溶かしてしまう魔法。
心を完全に彼に抱かれてしまう初体験に戸惑いながら、きっともうこの頃には、わたしは恋をしていたのかもしれない。
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