枯れた季節

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知香と別れた後、近所のスーパーに立ち寄り夕食の買い物をした。 きっと今日も帰りは深夜であろう旦那さんの分も、作っておけば、帰ってきた時にわたしが寝ていても食べてくれる。 買い物中も、料理中も、わたしの心はモヤがかかっているような感じがした。 きっと知香の言葉に考えるものがあるからか。 愛情はやがて情になることは知っている。 では思いやりがないのは…? ただそれをすべて旦那さんのせいにしてはいけないのだ、わたしにもきっと非はあるのだ、と思う。 だから、わたしが変わればきっといつかは旦那さんも気付いてくれるはず、と、思ってきた。 わたしなりにできる努力はしてきたつもりだった。 「…足りないのかなぁ……。」 思わず口に出た。 と、同時に涙がおちる。 もっと頑張れば、付き合っていた頃のように楽しく過ごせるかもしれない。 いつかまた、離れた心がお互い寄り添えるかもしれないと、それが自分の頑張る原動力になっていたのが、今少し崩れそうになって いることに、少しだけ不安になってしまいそうになる。
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