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睨むように彼を見ても、彼は優しい笑顔のままだ
何故笑うのかとも思えるが、やはり長く生きている分経験はあるのだろうか
イ「難しい話だとは思うけど、正直難しく考えることなのかい?確かに子供染みているかもしれないけれど、君はまだ子供だろう?」
希「子供子供言うな。子供だけど」
言われてみれば、子供染みてるとか、我儘だとか言ってるけど…私はまだまだ子供だ
でも、考えなくていい年齢なわけじゃないし、だからこうして訪ねてるんじゃない
イ「そうだなぁ。人には人の考えや価値観があるし、恋愛観だって違う。君はそれを相手によって変えるのかい?」
希「何それ、変えるわけないじゃん。自分は自分だし」
イ「そうだろう?なら、自分のしたいように、今まで通りでいいじゃない。でも、好意を寄せてくれる人がいるのは奇跡的なものでもあるんだ。だから君は、好意を寄せてくれた人にしっかりと感謝をしてあげれば、いいんじゃないかな」
長い。只管ペラペラと話すな。
でも、言っていることはちゃんと理解ができたよ
希「奇跡か…確かにそうかもね」
人はいつか死ぬ
死んでしまってから、後悔しても遅いんだ
私は、最後まで互いに愛し合っていた人達をこの目で見た
希「……うん、頑張るわ。ありがとう」
イ「そうかい?なら、応援してるよ。あと…」
私は決心し、彼に礼を言って立ち上がる
彼は笑顔を浮かべたあと、私に一つだけ言い残してから城の中へと消えていった
希「…わからん」
寮に戻り、彼に言われた言葉を思い出して独り言をこぼしました
『家族愛を重視する鈍めの君に、一つだけ僕からプレゼント』
そう言って笑ったイツキは、私のへ背中に手を置いて言った
何をされたのかはわからないけど、多分変なことではないだろうからほっとこうと思う
希「てか、結局結婚したら家族愛になるって言うのも納得だな」
話してるときに言われたけど、確かに結婚したら最終的にはそうなるよね
またまた独り言を呟きつつ、クロコが帰ってきてるだろう部屋に戻る
『少しは、わかるようになるはずだからね』
そういった、イツキの言葉は希には聞こえていない
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