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自意識過剰(二)
「か、海斗君。
もしかして起きてる?」
「んー? 寝てる」
「お、起きてるじゃんっ」
もう一度、
強く胸を押した。
けれど、
海斗君は
「寝言だし」
と呟いて、
あたしを離してくれない。
「寝言な訳ないじゃん!
離してよ……っ!」
んーっ!
と、腕を突っ張ろうとしても体に絡みついた腕は全くほどけず、
こうなったら足も使おう、
と膝を引き上げた瞬間――。
「う゛ッッ!」
あ、ほどけた。
――海斗君の低い呻き声と同時に、
あたしは海斗君の腕から解放された。
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