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振り返ると売人はいなくなっていた。
彼はひどく落胆した。
しかし、明日からの一層苦しい生活は目に見えてるのに、不思議と怒りは沸いてこない。
「まぁ…昨日買った桃色の薬だって効かなかったからな…。
明日はもっといい薬があるかもしれない」
そう呟いて去っていった。
売人は明日も彼の一日分の給料にあたる薬を用意して待っている。
知っていて下さい。
人生は蜂蜜キャンディーほど甘くはないのだと。
そんな都合のいい薬は存在しないのだと。
だって、そうでしょう?
馬鹿に効く薬だって存在しないんだもの!!
―終―
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