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かつて美しかった僕らの土地は荒れ果てた。
地面は干上がり、草木は枯れた。
人口激減。
餓死、または食べ物争いだ。
そんな中、生き残ったのは僕と君だけ。
「ねぇ…こんな土地出て行きましょう?
確かに私達はこの土地を出たことはないけれど大丈夫」
彼女の真っ直ぐでつぶらな瞳が僕を見つめる。
「あたしね…あなたといると強くなれる気がする。
なんだって出来るわ」
そっと囁いた後、媚を売るようにゆっくりと彼女は僕の耳から首へと舌を這わせた。
彼女の美しい髪が鼻に触れる。
ゾク…とした。
僕はどうやらコレに弱いらしい。
ここにいてもいつかは死ぬのは目に見えている。
「わかった…。明日夜明けと共にここを出よう。
僕らは腹ペコだ。今日はゆっくり休もう」
彼女は嬉しそうに僕に口づけをした。
そんな事されては、もう僕は我慢できない。
次の日、太陽に照らされたのは満腹の僕だけだった。
だってしょうがないだろう。
君が我慢出来なくさせたんだから。
僕だって君を大事にしようと思ったんだ!!
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