utopia

2/3
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
かつて美しかった僕らの土地は荒れ果てた。 地面は干上がり、草木は枯れた。 人口激減。 餓死、または食べ物争いだ。 そんな中、生き残ったのは僕と君だけ。 「ねぇ…こんな土地出て行きましょう? 確かに私達はこの土地を出たことはないけれど大丈夫」 彼女の真っ直ぐでつぶらな瞳が僕を見つめる。 「あたしね…あなたといると強くなれる気がする。 なんだって出来るわ」 そっと囁いた後、媚を売るようにゆっくりと彼女は僕の耳から首へと舌を這わせた。 彼女の美しい髪が鼻に触れる。 ゾク…とした。 僕はどうやらコレに弱いらしい。 ここにいてもいつかは死ぬのは目に見えている。 「わかった…。明日夜明けと共にここを出よう。 僕らは腹ペコだ。今日はゆっくり休もう」 彼女は嬉しそうに僕に口づけをした。 そんな事されては、もう僕は我慢できない。 次の日、太陽に照らされたのは満腹の僕だけだった。 だってしょうがないだろう。 君が我慢出来なくさせたんだから。 僕だって君を大事にしようと思ったんだ!!
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!