62人が本棚に入れています
本棚に追加
「行って――ママが呼んでる」
頭からブランデーを浴びせた男に
悪びれず告げる。
「忘れたの?今夜から一泊二日のお務め旅行だろ」
「ああ、くそ!マジか」
まるで僕の存在なんて
忘れてしまったように
ナナは舌打ちし頭を抱えた。
「行きたくない」
「ママを怒らせちゃダメ」
ごねる子供をなだめるように
優しげに唇を綻ばせ
由良はナナの頬に手をやった。
「僕の側にいるためさ――」
最初のコメントを投稿しよう!