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そして合宿当日。
海には電車で行くから、駅で集合となっていた。
俺は朝から千里の家に行き、日差しが直接当たらないように薄手の長袖を千里に着せ、帽子と母親から借りた日傘も差させた。
タオルで巻いた保冷剤も用意したし、これで完全防備だ。
「日傘を差すのって恥ずかしいです」
「恥ずかしさと自分の命、どっちが大事なんだ」
ホントはサングラスもかけさせようかと思ったが、それは千里に拒否された。
視界が暗くなって歩きにくいらしい。
駅の構内は日陰になっているし、少しは冷房も効いているみたいで外よりはマシだ。
日傘を畳んだ千里と二人分の荷物を持った俺が待ち合わせ場所に着くと。
「君達はアレかね、宗教か何かやってるのかね」
「宗教ではない。我らは正体を明かしてはいけないのだ」
「うん、とりあえず警察行こうか?」
頭に紙袋を被った集団が駅員に尋問されていた。
アホだ、アホの集団が居る。
「ぁあっ! 大変です!」
小走りでアホの集団に駆け寄った千里が、駅員にペコペコと頭を下げる。
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