第1話

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部室から校門までは少し距離があり、今日は帰りにどこか寄るつもりで部室から近い裏門に向かう。 練習後は腹が減るしな、コンビニで何か軽く食う物でも買うか。 裏門に向かう途中のグラウンドの端には体育倉庫がある。 何とも思わずに素通りしてから、ふと違和感を感じて後ろ歩きで数歩戻ると。 「何してんですか」 黒いジャージ姿の貧血先生が倉庫入り口でへたりこんでいた。 「……あ、世田君。今から帰るんですか?」 「そうですけど……だから、何してんですか」 貧血先生は倉庫のドアに凭れるようにして地面に座っている。 「まさかまた倒れたんじゃ……」 「違いますよ、元気です」 元気、と言いながらも夕日に照らされた顔はどこか青白い。 あ、いつもか。 「元気なら何でここに座り込んでるんですか」 「いや、その……倉庫で探し物がてら片付けをしてたら疲れてしまいまして……」 「で、動けないと」 .
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