第1話

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地面に置きっぱなしのカバンを引き寄せ、中から財布を取り出す。 「先生はここに居て」 「え? 世田君?」 「ちょっと行って来るから」 俺が居なくなった後に逃げられても困るから「カバン預かってください」と先生の膝に自分のカバンを乗せる。 そして校舎へと急いで向かった。 今の時間じゃ売店は閉まってるだろうが、自販機なら使える。 確か自販機にはあれがあった筈だ。 自販機で目当ての物を購入して倉庫前に戻ると、言いつけ通り先生は俺のカバンを抱えたままじっとしていて。 「おかえりなさい」 柔らかい笑顔を浮かべていた。 「カバン、ありがとう。で、コレ」 先生の前にしゃがみ込みカバンと引き換えに手渡したのは、鉄分カルシウム入りのヨーグルトドリンク。 こんなんでも何も無いよりマシだろ。 「貰っていいんですか?」 「いいよ……ってか、先生に買って来たんですから」 「そっか、ありがとうございます」 .
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