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「合宿? 引率の先生?」
「すみません。この子達は紙袋を被るのが好きみたいで……」
「まー、暑いからねー。不審者と間違われるから気を付けてよー」
千里が一通り説明をすると、駅員も何とか解ってくれたらしい。
「この暑いのに紙袋って……」とブツブツ言いながら業務に戻って行った。
ホント、このアホ共は……!
「では先生、行きましょうか」
何事も無かったかのように、部長が千里に声を掛ける。
そして紙袋に空いた穴の向こうの目がキラリと俺に向けられて。
「世田玲二、合宿への参加は許可したが、我々の研究の邪魔はしてくれるなよ。我々は遊びに来たのではないからな」
少々ムカつきながらも頷くと、部長は「よろしい」とふんぞり返っていた。
何かイラッとするんだよな、コイツ。
口調も偉そうだし。
「部長~、バーベキューセットは向こうで借りられるんすよね?」
「クーラーボックスの食材が重いんだけどー」
「案ずるな! 海鮮は現地で調達するからな。クラーケンの足だけでもここに居る全員お腹いっぱいになるぞ!」
やっぱりコイツら、アホだ。
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