第1話

14/14
前へ
/151ページ
次へ
嬉しそうにヨーグルトドリンクを見つめる先生に、何故かドキッと心臓が高鳴る。 ん? 何だ? 「あー、じゃ、俺帰ります」 「はい、気を付けて帰ってくださいね?」 「先生は?」 「僕もコレを戴いてから職員室に戻ります。まだ仕事が残っているので」 コレ、と先生が掲げたヨーグルトドリンクに、何だか照れ臭くなって。 「じゃあ……」 先生も気を付けろよ、なんて気の利いた言葉も言えず、俺は逃げるようにその場を後にした。 さっきの『ドキッ』は何なんだ? 気のせい、気のせいだな。 結局帰りにコンビニに寄るのも忘れて、俺は真っ直ぐ家に帰った。 頭の中から貧血先生のあの儚げな笑みが離れないのも……気のせいだ。 .
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

701人が本棚に入れています
本棚に追加