第1話

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貧血先生は体育の授業の度に倒れてる気がする。 他のクラスの授業の時はどうなんだ? そもそも、よくこんなんで体育教師になれたな。 「玲二、記録係は俺が代わるからさ」 「じゃ、頼むわ」 申し出てくれた修斗にバインダーとシャーペンを手渡す。 「俺は後回しにしてくれ。ちょっと行ってくる」 「あー、先生ね。いってらっしゃい」 修斗も俺の用が何かすぐに解ったらしい。 解ってないのは先生だけで、「どうしたんですか?」なんてキョトンとしていた。 「ほら、行きますよ」 「え、僕ですか?」 「先生しか居ないだろ」 戸惑う先生の腕を掴み、そのまま引き摺るようにグラウンドの端にある木の陰に移動する。 「ほら、ここ座って」 木の根元を示すと、先生は渋々といった様子でそこに腰掛けた。 「お日様の下に出ると倒れるんだからな。ここで大人しくしててください」 まるで小さい子に言い聞かせるようにそう言うと、貧血先生がいきなりクスクスと笑い出す。 .
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