701人が本棚に入れています
本棚に追加
貧血先生は体育の授業の度に倒れてる気がする。
他のクラスの授業の時はどうなんだ?
そもそも、よくこんなんで体育教師になれたな。
「玲二、記録係は俺が代わるからさ」
「じゃ、頼むわ」
申し出てくれた修斗にバインダーとシャーペンを手渡す。
「俺は後回しにしてくれ。ちょっと行ってくる」
「あー、先生ね。いってらっしゃい」
修斗も俺の用が何かすぐに解ったらしい。
解ってないのは先生だけで、「どうしたんですか?」なんてキョトンとしていた。
「ほら、行きますよ」
「え、僕ですか?」
「先生しか居ないだろ」
戸惑う先生の腕を掴み、そのまま引き摺るようにグラウンドの端にある木の陰に移動する。
「ほら、ここ座って」
木の根元を示すと、先生は渋々といった様子でそこに腰掛けた。
「お日様の下に出ると倒れるんだからな。ここで大人しくしててください」
まるで小さい子に言い聞かせるようにそう言うと、貧血先生がいきなりクスクスと笑い出す。
.
最初のコメントを投稿しよう!