第1話

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「世田君はお母さんみたいですね」 「誰がお母さんだ」 「心配性で世話好きなんですかね? 他のクラスでもここまでする人は居ませんよ」 ふふっ、と笑ってはいるが、その顔はどこか儚げだ。 確かに、自分でもお節介だとは思う。 でもさ、放っておけない性分なんだから仕方ないだろ。 特に、この人は。 「今日はボール投げの記録だけ測ればいいんですよね? 俺がやっておくから、先生は授業終わりまでここを動かないように」 ここ、と木陰をビシッと指差すと、先生は「はい」と柔らかい笑みを浮かべた。 色白でヒョロヒョロだし、どこかボケてる天然だし、頼りなくてよく教頭に叱られている姿を目にした事もある。 これで担任をしてるってんだから、そのクラスも大変だよな。 クラスが違うから先生の担任振りは解らないが、苦労してるのだけは想像つくよ。 .
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