701人が本棚に入れています
本棚に追加
「世田君はお母さんみたいですね」
「誰がお母さんだ」
「心配性で世話好きなんですかね? 他のクラスでもここまでする人は居ませんよ」
ふふっ、と笑ってはいるが、その顔はどこか儚げだ。
確かに、自分でもお節介だとは思う。
でもさ、放っておけない性分なんだから仕方ないだろ。
特に、この人は。
「今日はボール投げの記録だけ測ればいいんですよね? 俺がやっておくから、先生は授業終わりまでここを動かないように」
ここ、と木陰をビシッと指差すと、先生は「はい」と柔らかい笑みを浮かべた。
色白でヒョロヒョロだし、どこかボケてる天然だし、頼りなくてよく教頭に叱られている姿を目にした事もある。
これで担任をしてるってんだから、そのクラスも大変だよな。
クラスが違うから先生の担任振りは解らないが、苦労してるのだけは想像つくよ。
.
最初のコメントを投稿しよう!