第1話

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昼休みには大抵修斗と食堂に行っている。 もちろん、この日も。 「修斗、今日は何にする?」 「う~ん……蕎麦……ラーメンも捨てがたい」 食堂入り口近くの発券機の前で修斗がうんうん唸っていて。 後ろに並んで待っている人の視線が痛いから「早くしろよ」と急かして俺もカツ丼のボタンを押し食券を買った。 ここのカツ丼は卵がふわふわトロトロで美味しい。 親子丼も天津丼も卵がふわふわだし、食堂のご飯にしてはレベルが高いと思う。 カウンターでおばちゃんに食券を渡して品物を受け取ってから、修斗の持っているトレイの上の品物に目が行く。 「お前、やっぱり麺じゃん」 修斗が選んだのは醤油ラーメン。 昨日は鶏南蛮ネギうどんだったか? 「へへっ、だって美味いもん。そういう玲二はカツ丼? お前も丼ばっかじゃんか」 「だって美味いもん」 修斗のマネをしながらニヤリと笑うと、修斗が不貞腐れたように赤い顔で「真似すんなよっ!」と睨んできた。 .
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