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若向けのファッションブランドが並ぶ一角。
刃の少し後ろに、サトルがきょろきょろしながら歩く。
買い物荷物は、彼が「ちょっと仕舞って」おいたそうなので手ぶらだ。
「何か、浮かない程度にキマる物、1コあったら良いんですよ」
刃は次々と店内を見ていく。
商品全てに興味津々のサトルは、立ち止まったり追いついたりと忙しい。
「面白いねえ。でもこんなお店、一人で来ると気後れするかなぁ」
「どの口が言うんスか」
一見、物腰やわらかで優しげな彼。
その実、ひとたび好奇心にかられれば、言動に遠慮が無くなることを刃は知っている。
「……まァ、サトル君なら、あるのかもな」
わざとらしく言って笑い、また彼女は次の店先を見はじめる。
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