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赤と緑とリボンが売場を彩り、いつもより光り物の多い商品たちを、照明が輝かせる。
クリスマスソングが流れる、賑やかなショッピングモール。
そこをなんとなく並んで歩く、二人が居る。
色白で細身、黒のAラインコートも艶やかな長身。
長めの黒髪がその中性的な美貌の半分を隠す。エリック。
横を歩くのは、どっちだか分からないという意味で中性的な、あまり話しかけたくない人相の三白眼。
長い髪をすっきりまとめ、羽織ったロングカーディガンの裾を翻して歩く。刃。
それぞれに買物袋を提げ、店先を冷やかしながら、人の多い店内を行く。
既に散々連れ回されたエリックは、少し疲れ顔だ。
「……あとはどこへ?」
「あー。食料品はだいたい済んだし、あとはちびどもに何か買うかー」
「クリスマスプレゼントですか?」
「そんな洒落たモンじゃねぇけど。何かやっときゃ納得するだろ」
クリスマス、という行事は去年、居候と近所のちび達に吹き込み済みだ。
おかげでプレゼントを誂えることになったが。
「ちょっとそこ寄るぞ」
「またですか……」
すっと人の間を抜ける刃を、エリックが追う。
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