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雑貨屋をのぞいていると、横から白い手が伸びた。
女性の横顔が刻まれた、カメオ風のブローチを取る。
目を向けると、エリックが手にしたそれを見つめ、物憂げに目を伏せていた。
「……閣下もいらしたら良いのに」
呟きを聞き、刃は苦笑する。
銀髪の巻き毛、基本的に黒ずくめ。目鼻立ちから体つきから整いすぎた、死神。
外人すら珍しいこの地方都市で、あんなのが町を歩いていた日にはどうなることか。
たちまちケータイを構えられ、数分後にはその画像がネットに拡散してそうだ。
カメラに写るかどうかは知らないが。
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