3人が本棚に入れています
本棚に追加
「……どうしてです?」
「いや? お前がそんな顔してるからさ、欲しいモンでもあるのかと思って」
エリックは驚き、そしてすぐに、むくれたように視線を下げた。
その頬が、ほんのり染まっている。
照れ隠しか、とがらせ気味の唇で、呟くように返される。
「……あなたは、あげたい方へ、プレゼントは用意できたんですか?」
語尾からの上目遣いがやたら可愛い。
こいつ男だったよな、と思い出しながら、返す。
「センセとネェさんのならもう準備済みだ。ちび共はこれから。死神は知らん」
「!
閣下の分は僕が用意します」
急に色めき立ったのが、予想通り過ぎて笑う。
「お前、金持って無ェのにどうすんだ」
「それは……」
言い淀み、エリックはぷいと顔をよそへ向けた。
「……お金で買えるものなんて、閣下に差し上げられません」
何だその苦し紛れは。
こらえきれない笑いが、ニヤニヤとこぼれる。
「そうしとけそうしとけ。オレぁあんなんにゃ何もやらん」
「ええ。そうしてください」
何やら力んだエリックは、興奮が冷めやらぬ様子で歩いて行ってしまった。
どうすんだか、と見送り、足元のレジ袋に気が付く。
「おいコラ荷物置いてくなよ」
言ってみても、既に手遅れだ。
仕方なく、全部ぶら下げて雑貨屋を出る。
座って待ってりゃ見つかるかと、近くのベンチへ陣取った。
最初のコメントを投稿しよう!