クリスマスのお買い物

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  *** 「お久しぶりだね。今日はここで買い物?」  親しげに声をかけられ、刃は顔を上げる。  あかぬけない、というかぱっとしない風体の、ひょろっとした若者が居た。  くたびれたリュックを背負っていて、高校生というには年長な男が、斜め前に立ってにこにこしている。  見慣れない顔だ。  警戒心もあらわに見ていると、がっかり、を体言するように肩を落とされた。 「……きみ、なかなか覚えてくれないね」  なんだ。サトルか。  ごまかしがてら笑う。 「……特徴の無い顔してるからですよ、センセ」  エリックと同様に、同居人の一人だ。  趣味と実益を兼ねて、大学生に化けている。  ということで人間では無い。  彼は、むかし彼女が師事した教師だ。  ここへ溶け込めるようにと、そこらに掃いて捨てるほど居る男子大学生の姿形をしている。  印象に残らない顔は、元々そういう狙いらしい。  が、一人暮らしの演出なのか見本の問題なのか、伸びかけの髪と寝起きのままような格好。  いつも、どうにもくたびれた風体で居る。  だから彼女はたまに、身ぐるみはいで洗濯してやりたくなるのだが。  一応相手は自分の師だ。本人には言えないでいる。  
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