side M

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「美代ちゃん、こんな買い物に付き合ってくれてありがとう。」 ショッピングセンターの中の手芸用品店。 用事があったのは、私じゃなくて洋ちゃんの方だ。 「いいよ。楽しいよ?」 「良かった。俺も楽しいし。」 言わなくても、洋ちゃんが楽しんでるのは見てるだけで分かるよ。 姪っ子のお誕生日プレゼントを選ぶっていう口実がなくても、こういう場所に来たかったらいつでも付き合ってあげるからね。 手芸用品店の一角にある書籍コーナーで、編み物の本を手に取る洋ちゃんを眺める。 大男が編み物。 ギャップ萌えだ。 私も目の前の編み物の本を手に取ってパラパラと見てみた。 手編みのセーターが編めたら女子力高いよね。 編み物なんてしたこともない。 「う~ん、こっちの方が簡単そうかなぁ。美代ちゃん、どう思う?」 隣から声をかけられ、自分がパラパラ見ていた本を棚に戻して洋ちゃんが見ていた本を1冊ずつ手にとる。 どちらも親切丁寧に写真つきで解説してあるから、どっちでもいいと思うんだけどな。 「洋ちゃんの姪っ子ならきっと、どっちでも作れそうな気がする。」 「だよね、きっと分からなくなったら姉に聞くんだろうし。冬までにマフラーを作りたいとかってね。」 クスッと笑った顔。 きっと、今、洋ちゃんの頭の中には可愛い姪っ子の姿が浮かんでる。 「毛糸も一緒に選んでくれる?」 「もちろん。」 でも、私の出番なんてないよ。 私よりも確実に女子力の高い洋ちゃんが選んだ方が可愛い色を選べると思うから。
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