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 なんだろう。  この大崎会長を思い出させるこの属性の人間は、私と回路が違いすぎるとしか思えない。  「いいじゃん、ピヨちゃん。あ、パワハラ〜とか、セクハラ〜とか、そんなこと言わないよね?」  「……え? そ、んなことは、全然」  思ってないというか、考えもしなかった。  そもそも、こういうことがそういうハラスメントになるの? やっぱり、社会人って違う。  意味がよく分からなくて黙り込んでいると、城田さんはそれを誤解したのか、私の前でピタリと立ち止まった。  止まってからくるりと振り返って、私をじぃっとのぞき込んでくる。  そういうのは、実をいうとちょっと遠慮してほしい。  キャラ性はとかく、城田さんのキラキラ度合いは目の毒だと思う。  思わずドキッとしてしまうのを、許してほしいって胸の内でほんのり願ってしまう。  「ほんとに、すごーく。嫌だったりする?」    ほんの少しの切なさと、申し訳なさを混ぜたような。  白色に少しずつ黒を足して混ぜていくような表情の移り変わりに、私はあわあわしながら両手を胸のあたりで振った。
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