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   ***  そうしてようやくちぃくんに会えたのは、誕生日の5月5日だった。  「遅くなってごめんなさいっ」  玄関に入って早々に頭を下げたのは他でもない。4月中に会えなかった上に、私が寝坊して、ここに来るのが遅くなってしまったからだ。  いつも、寝坊したりなんてしないのに、珍しく寝てしまっていた。  しかも、お母さんとお父さんは2人でどこかに出かけ、皇星もまた友達の家に出てしまったようで。  静かすぎる家の中、私は堂々と爆睡していたみたい。  前日の4日も、これまたやっと会えた真理亜とテンション上がりすぎて遅くまで遊んでいたせいでもあるんだけれど……  こんなこと今までなかっただけに、いたたまれなさがハンパない。  「大丈夫。気にしないでいいよ」   「でも」  「そんなに気にするなら、こっちでお詫びの対価をもらうしね」  とか言いながら、突然抱きしめられて、私は目を見開いた。  ぎゅうっと抱きしめられて、右肩にちぃくんの顎が乗る。右耳に髪をかけられてから、耳にそっと唇を寄せられた。   かさりと触れるその唇の感触で、私の心臓はピョンと跳ねる。  ちぃくんは私をドキドキさせる天才だ。
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