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 名前を確認して、中身を取り出して手に取ってくれた。  触りながら、本革じゃないの? ってビックリ顔で尋ねられて、私はコクコクと頷いた。  良かった。プレゼント失敗してなかった。  「これ、めっちゃ高かったんじゃないの?」  「それは聞いちゃダメ」  「はは、そりゃそうだ。ありがとう、ことちゃん。まさかこんなものをもらえる日が来るなんて思わなかった」  「へへへ。私も成長したんですー」  そう言って、私もちぃくんの手の中にあるそれにーーーノートカバーに手を伸ばして触れた。  柔らかな質感に、でも革らしい滑らかさと強さもある。使い込めば味が出そうなキャメル色。  私には大人すぎる買い物だけれど、ちぃくんなら持ってても様になるような気がした。  買いながら私もちょっと欲しくなっちゃうくらい、上品でオシャレだ。  「これからまた、たくさん勉強するんでしょう? だったら、そういうものも気分をあげてくれたりしないかなって」  「うん。ほんとに、かっこいい。ことちゃんのセンスに感謝」  「良かった。こんなものいらないって顔されたらどうしようかと思った」  「そんなことないよ。よく俺のこと見ててくれてるから、選んでくれたんでしょ」  「だと、いいんだけど」  照れ隠しに前髪を梳きながら触っていると、ちぃくんに手を取られて顔を見られた。  ニコニコと笑うちぃくんに引き寄せられて、椅子に腰掛ける彼の足の間に立つ。  見おろすと、屈んでって言われて少し膝を折った。  続けざまにやってきたのは、ちゅって軽いキス。  ありがとうって込められたそれにまたキュンってしながら、私はまた赤くなる顔を隠すために首に手を回して抱きついた。 「すき」   耳元に囁いて、いつもされるばかりだから、その耳に口づけをする。  そうしたら、またギュウッて抱きしめられて、私はちぃくんの横顔に顔をすり寄せた。
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