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とはいえ、寂しさがどうしても口をついてでてしまう。
ようやく落ち着いてきたから、私もついに、仕事終わりに遊びに行ったりできるかも……なんて。
でも、返ってきた言葉はあんまり芳しいものではなかった。
『今月はかなり忙しくて。ほら、試験が近いから』
「あ、そっか。忘れてた」
『ひどいなぁ社会人。もうテストのこと忘れたの?』
「都合悪いことは忘れたんです〜」
そう言いながら、本当に忘れていた自分に驚いた。
人間、環境に慣れるって怖い。
それこそ、中学校からずっとこの間までテスト期間とかいうものに悩まされてきたはずなのに、それをまるっと忘れるだなんて。
そんなことを話しながら、土日にどこか少しだけでも出かけようって約束をして、私たちはまたそれぞれの日常に戻った。
不安なんてない。
不満なんてない。
それでも、どこで躓いたのかを考えたら、もしかしたらこんなところからだったのかもしれないーーーかも、だけど。
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