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「でさピヨちゃん。社内親睦を兼ねて旅行に行くんだけど。どうかな」
城田さんに予期せぬお誘いを受けたのは、スポーツ大会が終わった後のあれこれが終わったころのことだった。
まさかのお誘いに私はどうして良いものかと周りの人を見回してみたけれど、ニコニコした顔でウンウンとうなづく人ばかりだ。
「広報と、災害安全対策課と、あと市民スポーツとくらいなんだけど。広報と仕事で絡みがあることも多いしさ、例年合同で親睦会やってるんだよね」
「そうなんですか」
「子どもさんがいる家庭の人はなかなか参加しにくいって言われちゃうんで。できれば新採のピヨちゃんには来てもらいたいなと」
「う……」
ことあるごとに新採は、の言葉を挟まれると私は言葉に詰まる。
しかし、3課合同となれば私以外にもいるはず。と、思った私の思考はどうも読まれていたらしい。
「なななんも来るよ」
「あ…。ぅ」
なななんとは、南ななちゃんのことで、私が同期の中でもっとも仲良くしてもらっている子だ。
災害安全対策課に配属されたななちゃんとは部署が遠くて普段はなかなか会えないけれど、ちょくちょくある研修とかでは隣の席になることが多い。
何より大卒のななちゃんはしっかり者で、まだまだ落ち着きのない高卒私にとって、頼りになるお姉さんでもある。
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