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 あはははって笑いながら、城田さんはまたねーって手を振りながら去っていった。  全くもって、信じられない。  あんなこと言ったりするから、勘違いしたりする子がいたんじゃないのかって勘ぐってしまう。  私にはちぃくんがいるから、そういう誤解がないと思って気にしていないのかもしれないけれど。  ……でも、城田さんレベルの人から好かれたら、靡く人がいるのかも。なんて。  「あいたい」  職場だって分かっているけれど、誰も聞こえないくらいの声で、ポツリと自然に言葉が漏れた。   旅行に行くのも、意地悪く笑いかけてくるのも。  どれもちぃくんがいい。  会いたい。  会えないって言われると余計に。  だけど、そんなわがまま言えなくて。  私は手のひらに爪を立ててきゅうっと握りしめた。
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