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そうして迎えた7月。
テスト前に映画デートだけは実行して、あとはメールのやりとりが続いただけの6月が終わった。
夏休みは出かけられないと言われたけれど、やっぱりどこか期待した夏がやって来た。
それなのに―――期待どころか真逆の。衝撃的で思いもよらない電話がかかってきた。
『別れることに、したの。創と』
「嘘、……で、しょ……?」
『嘘ってなによ。そんな嘘、つく意味ないし』
「そういうこと、……じゃ、なくて」
『……ごめん。分かってる。ただ、ごめっ……グスッ、う、ふぅう…ッ。こと、わたし、、わた、し……っ』
顔が見えなくて、もどかしい。
こんなに泣いてる真理亜を私は知らない。
けど、なんて言ったらいいのか分からなくて。しかも、どうして別れることになったのかも分からなくて。
私はただ、うん、うん、って返事しかできない。
何が正解なのか、なんて声をかけたらいいのか分からなくて。
でも一つ分かることは、真理亜に会わなきゃ分かんないってこと。
「真理亜。明日、仕事の後に行くよ。泊めてくれる?」
最適解なんて分かんないけど、私にしては強引に予約を取り付けて、それに真理亜が泣きながらウンウンって、頷く声が聞こえた。
まさか、ここから自分の身にもとんでもないことが起こるとも知らずにーー
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