6人が本棚に入れています
本棚に追加
「しねーよ。」
「ん?」
「そんなの、本当に好きなやつとしか、デートなんてしないんだよ、俺は。」
表情を悟られないように口を肘でぬぐいながら言ってやった。
一瞬、間が空いて、「そっか。」と呟いて岸はまた笑った。
「そういえば知ってる?オジサンって名前の魚いるんだよ。
髭みたいなのが生えてんの。保存しといたんだ、見る?画像。」
「オジサンがいたら、オバサンて魚もいるのかよ。」
「わ、珍しー。澤ちゃんが掘り下げてきた。
明日雪降ったりして。」
「ばか、今何月だと思ってんだよ。」
「えっと、7月だっけ?ふふ。」
岸は嬉しそうに俺を見ながら笑った。
なんかもうこれ、デートみたいじゃん。
俺だけだけど。
はあ。
お前みたいに脳が鈍感になればいいのに。
そしたらお前の笑顔をもっと、
もっとまっすぐ眺められるのかな。
そんな気持ちをいつもの予鈴が遮った。
休み時間がこんなに短く感じたのは、初めてだった。
to be continued...
最初のコメントを投稿しよう!