囚われの小鳥は愚かに鳴く

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しかし異端審問は必ず何らかの事後に開廷され、かつ確実に異端という判決が下されなければいけない。聖地カーラーンをあらかじめレンディアの味方につけることは不可能に近いだろう。 「ではゴンドアはどうだ?ゴンドアの王は信頼に足るか?」 タダンは首を横に振った。 「ゴンドアとはろくな国交が御座いませぬ。海路は断崖絶壁に阻まれ、陸路では広大な砂漠に行く手を阻まれます。交渉に行くのも一苦労ですぞ。陛下、まず我が国力の増大を図るべきでは?」 「わかっておる、わかっておる!」 モロは苛立ち汗を拭った。 「陛下、何を焦っておられますか。もうジャーシャ様の祝祭も近い。国がジャーシャ様を通じて一つになろうとしているのですよ。今はそちらをしっかり見ておくべきです」 「ジャーシャか...」 そう呟くとモロは立ち止まった。 「なあタダンよ。私はあの娘一人満足に生かしてやることが出来ないのか。こうして裳着という政治の道具にされて…。何も知らずとも気付いておろう。自分はお飾りの人間であると」 「おおよそ王らしくないお言葉です。長年お仕えさせて頂いてこれ程弱気な陛下は初めてで御座います。家族は娘息子だけなのですか?いいえ、陛下は国民という家族を守る義務があるのですよ。それをお忘れなきよう」 モロは平手で自らの頬を打った。 「今一度肝に銘じよう。さて明日からはさらに忙しくなる。祝祭まで慎重になろうぞ」 モロはそう言うと自分の寝室へと姿を消していった。老大臣は自身の老骨に息を吹きかけ自室に戻っていった。
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