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「おいおい、はやまるなよ!」
「まだまだ鳥生は長いんだからさあ、こんなことでくじけんなよ!」
「死んでやるーーー!のおお!死んでやるーーー!自分にはもう生きていく資格はないんだぁーー!」
ばさっばさっばさっばさっばさっばさっ
「おい、トキ見ろよ!」
「何だよカワウ!」
「高速道路の欄干!」
「ん?どこどこ?あっああっ!あれはいつぞやのカラスのコンビじゃないかぁ!」
「それもそうだけど、あの今にも欄干から飛び下り・・・あぶねぇ!」
ばぁっ!
「あっ!何処いくカワウ!」
カワウのレミは、トキのサクの制止を振りきって今にも道路に墜落せんとする一羽のカラスの首根っこをくわえて橋の欄干に退避させた。
「な、何するんだー!」
バシッ!
カワウのレミは、助けたカラスの顔を翼で叩いた。
「甘ったれるな!てめえの鳥生位責任持て!」
「そんなことは今は言うなよ、君!今、こいつはとてもナイーブなんだからさあ。」
「あっ!君はいつぞやのカワウのレミさんとトキのサクさんでは?」
「あ?」「あっ!」
カワウのレミとトキのサクと、カラスのバルとアスレッドはお互い顔を見合わせた。
「いやあ、いつぞやの『カラス戦争』の時は巻き添えさせてすまんな!」
「いやいや、気にしてないし。」
「ああ。で、あの自殺騒ぎのカラスは?」
「あれ?」「いない・・・」
カラスのバルとアスレッドは辺りを見渡した。
「おい、あそこー!」
トキのサクは、今度はスクラップ工場のプレス機を覗くあのカラスを翼で指し示した。
「うわあ!おいおいまじかよ!」
「こいつ、あの機械に飛び込むつもりだよ!」
「見てられない!こうしちゃいられん!」
ばっ!
今度は、トキのサクが飛び出していった。
ガシャコン!
ガシャコン!
ガシャコン!
ガシャコン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
スクラップ工場のプレス機は、轟音を響かせて廃車を潰していた。
ぴょーん!
「あぶなぁーーーーーーーい!」
ばっ!
間一髪だった。
カラスがプレス機に巻き込まれる寸前を、トキのサクが細い脚でふん捕まえて引っ張りあげた。
ばさっ!ばさっ!
「何するんだ!自分はもう・・・!」
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