第1章

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3/8日午前6時健太の携帯がなる。 昨夜はタクシーで家に帰り、そのまま寝てしまった。 (ちぇっ。うるせーなー誰だよこんな朝早くから) めんどくさがりつつも携帯を開く健太。何十件も電話が来ている。 (だれだ?) 「もしもし」 「健太君?おばさんだけど、今すぐ国立総合病院にこれない?」 「おばさん、どうしたんですかこんな朝早くから」 「裕太がね、裕太が、、車に引かれたのよ」 「、、、、え?」 「これからこれないかしら?」 「いますぐ行きます!!」 昨日と同じ格好で玄関を飛び出しタクシーを捕まえる。 若干お酒のにおいがするがそれどころではない。 「国立総合病院までいそいで!!」 幸い今日は休日だった。受付にいくなり裕太のお母さんが待っていた。 「おばさん!裕太が車に引かれたって本当ですか!?」 「うん。詳しいことはわかんなくていまお医者さんからきくとこなの」 二人は開いてる席を探し、ゆっくり腰掛ける。空気が重い。 健太はおばさんにかける言葉が見つからなかった。 「裕太は無事ですか!?」 突然大きい声でおばさんが叫んだ。 いつの間にお医者さんがきていたのだろうか。 二日酔いもあるせいか、健太は気がつかなかった。 「はい、一命はとりとめました。命に別状はありません。こちらの方は?」 「裕太の友人です。一緒にお話を伺うつもりですので。」 「かしこまりました。それでは詳しい話はこちらで」 別室に通される二人。 「裕太君は無事一命は取り留めました。ですが、大変申し上げにくいのですが、裕太君は、記憶喪失になってしましました。昨晩トラックにひかれた際に頭を強打してしまい、それが原因だと思われます。ですのでおそらくお二人の顔も覚えていないと思います。時間がたてば通常に戻るかもしれませんがとりあえず今のところ記憶はないものと思われます。」 「そんな、、、、」 泣き出すおばさん。 健太はことの大きさに気づいていないのか、事態がのみこめていないのか、感情が表にでないのかひたすら向かいの窓を眺めていた。 「裕太君は502号室にいらっしゃるので、一度あってみてご自分の目で確かめた方がいいかもしれないです。」
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