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「暑い……」
夏。燦々と照り付く太陽に晒され、縁側でぐったりと横たわる少女が一人
此処は幻想郷。忘れ去られた物が流れ着く幻想の世界。その一角にある博麗神社
その縁側にて、神社の巫女である博麗霊夢は嘆く様に呟いた
「夏って何でこんなに暑いのよ~。もう動くのも嫌になるわ……」
霊夢は怨めしそうに光を手で遮りながら太陽を睨む……今にも、太陽に向かって夢想封印しそうな雰囲気である
今年も幻想郷に暑い夏がやってきた。しかし、それは同時に扇風機等の涼む為の道具が無い博麗神社には地獄の季節
自然の中に建つ神社とはいえ、やはり暑いものは暑い。涼みに行こうにも、その暑さで行動する気力すら削がれたのが今の霊夢の状態だった
「…………チルノ捕まえて抱き枕にしてやろうかしら」
氷精に触れたら凍傷を起こす……それすら忘れて、氷精を捕まえようと画策するまでに思考能力が暑さにより低下してしまった霊夢
だが、動く気なんて更々無かった。其れ程迄に、暑さでバテているのである
「あーぁ~……何か涼しくなる事は無いかしらね~」
少しでも良い、何か涼を取れるものを……。霊夢は考えた
涼を取れるものと言えば、先ず真っ先に思い浮かぶのは水浴びだろうか?次に気分の問題だが風鈴も良いだろう
しかし動かない事が前提の為に即却下
次に考えたのは、以前妖怪の賢者の八雲紫が外の世界からお土産と持ってきたアイスクリーム……アレは美味しかったと、霊夢は思い出す
だが、そんな事の為に紫をパシらせるのも気が引けた。よって却下
そして長い事考えて、霊夢は思い付く。自分は動かずに涼を取れる方法を
「……そうよ!怪談よ!夏と言えば怪談じゃない!」
勢いよく上体を起こして言う霊夢だったが、直ぐに我に返った
「って、怪談を一人でしたってしょうがないし、何より幻想郷で怪談て……我ながら馬鹿馬鹿しいわね」
幻想郷は妖怪や幽霊の類が沢山存在する世界だ。ましてや霊夢は、その妖怪や幽霊を退治する博麗の巫女。怪談よりも恐ろしい体験を、幾度となく体験している
そんな霊夢が、怪談で恐怖するのか?答えは否である
「はぁ~……。……ん?」
やれやれと肩を竦める霊夢は、ふと空を見上げた
すると雲一つ無い晴天の青空に一つの黒い点を見付けた。どうやらこっちに飛んできている様だ
「あれは……魔理沙かしら?」
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