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霊夢は飛んできている黒い点が箒に乗った魔理沙だと認識した途端、めんどくさいと言いたげな表情になった
霧雨魔理沙はよく博麗神社に遊びにくる魔法使いで、霊夢とは旧知の仲だ。しかしあまり霊夢は魔理沙がやってくるのを快く思っていない
何故なら大半が、お茶を集りに来るか厄介事を持ってくるかの二択だからだ。お茶を集りに来るのはまだ良いが、厄介事を持ってきた時は本当に厄介なものを持ってくる
やけに速いスピードでこっちに飛んできている様子から、また厄介事を持ってきたんだろうと霊夢は直感していた。だから、めんどくさいと言いたげな表情になったのだ
「少しでも賽銭入れてくれれば、喜んで話は聞くんだけどな~。話だけは」
徐々に近付いてくる魔理沙に嘆息する現金な霊夢
しかし……其処で霊夢は異変に気付いた
「あれ?魔理沙ったら、スピードを落とそうとしないわね?」
そう。何故か魔理沙はスピードを落とさずに霊夢に向かって飛んできているのだ
そろそろ遠目でも全体像が分かるレベルまで近づいているというのに、全然スピードが落ちない
「霊夢ーッ!」
「ちょっと!?このままだとぶつかるじゃない!」
魔理沙が大声で霊夢を呼ぶ。明らかにただ事ではないと直感した霊夢は、袖から四枚の札を取り出した
「ハッ!」
霊夢が魔理沙に向かって四枚の札を投げると、それは四方に展開し一枚の結界を作った。霊夢お得意の結界術だ
そして……
「ちょっ!?バッ……ブベッ!?」
「痛そうね?」
「当たり前だろ……ッ!」
魔理沙は真正面から激しく結界にぶつかり、ズルズルと滑り落ちた。人間の身で、よく猛スピードで結界へ体当たりしたのに無事なものだ
「それで、何をそんなに慌ててんのよ?慌ててるからってブレーキくらいしなさいって」
「違うんだよ!ブレーキ出来なかったんだよ!」
「はぁ?……ッ!?」
霊夢は呆れ果てた。魔理沙は普段から箒に乗って空を飛んでいる。最早手足と言っても過言ではない
そんな魔理沙が箒を操れなくなったとは、一体どういう事なのか……
しかしその直後に霊夢はある事に気付き、思わず絶句してしまう。それはもう、恐ろしい物を見てしまったからだ
「魔理沙……あんた、足はどうしたのよ!?」
それは……魔理沙の下半身が“まるで最初から無かった様に切り取られていた”からだ
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