8人が本棚に入れています
本棚に追加
今の魔理沙には足が無い。いや、正確には腰から下そのものが無い状態だった
そんな状態の魔理沙が、今まで見た事が無いくらいの焦りの表情を浮かべ、腕だけで縁側に攀じ登ろうとしている。流石の霊夢もドン引きである
「霊夢助けてくれッ!私、もうどうしたら良いのか分かんないんだよッ!」
「と、取り敢えず落ち着きなさい!ていうか、あんた足無くて大丈夫なの!?」
「痛みとか無いけど、逆にそれが怖いんだよぉッ!なぁ、私はどうなっちまうんだ!?なぁ!」
魔理沙は霊夢にしがみ付き、わんわんと泣き喚く
何時もなら皮肉の一つや二つは言う魔理沙が、此れ程弱気なのを霊夢は見た事が無い
まぁ、いくら非常識な幻想郷だからといって下半身がごっそり無くなるなんて経験はした事が無いだろうから、弱気になるのも分からない事はない
取り敢えず、魔理沙を落ち着かせて何故こうなったのかを聞いてみると、魔理沙はゆっくりと話しだした
◇
「ふんふふんふふ~ん」
話は今から一時間程前に遡る
魔理沙は鼻歌を歌いながら、自分が住み着いている魔法の森の中を歩いていた
魔理沙は魔法の研究の為、よく魔法の森に生えるキノコを採取したりしている。今日もその為に、魔法の森を歩いてはキノコを摘み取り、キノコを摘み取りを繰り返していた
「うんうん、大漁大漁!今日も沢山のキノコが採れたぜ!」
今日のキノコ採取は上々だった。中には中々お目にかかれない珍しいのまである
「さてと、今日はこのくらいにして帰るか。陽が直接当たらないとはいえ、暑いしな」
ぐいっと汗を拭い、空を見上げる魔理沙。燦々と降り注ぐ夏の陽射しも、木々に遮られて和らいでいる
とはいえ、じめじめした魔法の森は蒸し暑い。さっさと帰って研究しながら涼もう……そう思って帰路に着いた矢先だった
「ねぇねぇ、こんな話を知ってる?」
「……ん?」
突然、魔理沙は何者かに話し掛けられた。しかし周りを見渡しても、誰も居ない
「誰なんだ?私に何か用か?」
「ねぇねぇ、知ってる?」
問い掛けても、質問を質問で返された
「だから、お前は誰だって私が聞いてるだろ?質問は質問で返せって親に教わったのか?」
「ねぇねぇねぇねぇ、知ってる~?」
「こいつ……!」
最初のコメントを投稿しよう!