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更に質問しても、更に質問で返してくる。自分の正体も明かさない、とことん煽っていくスタイルなこの声に魔理沙は苛立つ
それを知ってか知らずか更に煽ってくるこの声に、魔理沙の苛立ちはピークに達した
「ねぇねぇねぇねぇ~」
「……だぁぁぁぁぁぁっ!一体誰だお前!ていうか、何の話だよ!」
「知らないの?じゃあ教えてあげるね?あれは寒い寒い、極寒とも言える冬の日だった……」
声を荒げ、虚空を睨み付ける魔理沙
そんな事はお構い無しにその声は数段声のトーンを落とすと、何かを語りだした
「ある所に、一人の少女が居ました……。少女は出掛ける為、電車に乗る為に駅に向かっていました……」
淡々と続く声の語り……。魔理沙は結局こっちの質問は無視かとまだちょっと苛つきつつも、その物語を聞いていた
「電車……。確か鉄の箱に車輪を付けた様な乗り物だったか?紫がスペカで使ってきたから知ってるぜ」
「話を脱線させないでくださーい」
「こいつぅ……」
「話を戻すね?駅に着いた少女は電車を待っていた……。駅は沢山の人々が行き交い、とても賑やか……。そして、少女が乗る電車がホームにやってきた……。すると、少女はホームから線路の上に落ちてしまった……。多分、誰かにぶつかってしまったんだろうね……」
更に一段、声のトーンが落ちる。その時魔理沙は何か、嫌な雰囲気を感じていた。夏なのに、何故か背筋を駆け抜ける様な寒気を感じる……そう、魔理沙は思った
「助けてと叫ぶ少女……。でも助けだされる前に、電車が来てしまった……」
「おい、まさか……」
「そう……。少女は電車に撥ねられ、車輪に胴体を上半身と下半身、二つに切断されてしまうの……」
「~~~ッ!?」
魔理沙は絶句した。語りが言い終わらない辺りで、漸く声の主が、木々の間から姿を現したからだ
声の主は少女だった。童顔で幼そうな印象を受ける美少女
しかし、ある筈の物が……“下半身が、この少女には無かった”
「お、お前……」
「でも、寒い寒い冬だったからなのか、切断面の血管は収縮して少女は即死せず、数分間藻掻いて……藻掻いて……藻掻いて藻掻いて藻掻いて藻掻いて藻掻いて藻掻いて藻掻いて藻掻いて藻掻いて藻掻いてモガイテモガイテモガイテモガイテモガイテモガイテモガイテモガイテモガイテモガイテッ!……死んだの」
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