8人が本棚に入れています
本棚に追加
蒼白い肌、生気を失った眼……魔理沙は理解した。自分に話し掛けてきたのは怨霊で、今聞かされたのはこの怨霊の生前の末路だと
「な、成る程。夏と言えば怪談。とはいえまさか怨霊自ら、しかも自分の末路を怪談にして聞かせにくるなんてな?」
「……えへへ。怖かったかな?」
「確かにインパクトはピカイチだった。流石の私も、背筋に悪寒が走ったぜ」
「そう?やったね」
さっきと打って変わって、ニコニコとVサインする怨霊。悲惨な最期にしては案外、可愛らしい怨霊である
が、今の魔理沙には正直どうでも良かった
「……で?」
「で?」
「いや、お前私に用があったんじゃないのか?だから話し掛けてきたんだろ?……まさか怪談聞かせる為だけに声掛けたのか?」
「うん」
「おいおい……」
魔理沙は小さく嘆息した
確かに今は夏でとても暑い。怪談のお陰で涼が取れた事にはちょっとばかりの感謝はすれど、用も無いのに話し掛けられても……
先程散々無視された事もあって、あまりこの怨霊に魔理沙は良い印象を持っていなかった
すると、怨霊が「でも……」と付け加える
「私は怪談というより、貴方に『過去にあった悲惨な事件』を聞いてほしかったんだよね。じゃないと“質問”出来ないし」
「あぁ?質問?用は無かったんじゃないのか?」
「今、質問出来る様になったんだよ」
「意味が分からん……」
全くもって、怨霊の言葉の理解が出来ない魔理沙。今出来る様になったというのは、一体どういう事なのか?
そんな魔理沙を放っておいて、怨霊は続けた
「じゃあ質問するね?準備は良い?」
「良いからさっさと言えって。で、どんな質問なんだ?」
「じゃあ質問!……その話は誰に聞いた?」
「話?さっきのか?……お前にだろ?」
そう魔理沙が答えた瞬間、怨霊の表情が変わった
あどけない、幼さの残る可愛らしい顔が狂喜に満ちた表情へと変わったのだ。これには流石の魔理沙もビビった
「あーぁ、ダメじゃない。質問の答えを間違えちゃ……」
「な、何を言ってるんだぜ!?私は確かに答えただろ!お前だって……」
「私はお前って名前じゃない……。カシマさんって……コタエナイトネェッ!」
「ッ!?」
次の瞬間、魔理沙は狂気に満ちた顔の怨霊……カシマさんに組し抱かれていた
最初のコメントを投稿しよう!