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「しっかしさぁ。雛森さんてホント魔物だよね」
その直後。どでかい声で言った佐藤くんの言葉に、一同固まる。
「……は?は?さささ佐藤くん、なに言ってるの?」
ほんの数秒、『シーン…』となった雰囲気を瞬時に察した飯山さんが慌ててフォローに入った。
どもり具合が何とも言えない。
「だってさぁ。俺、ここに来る時に雛森さんの後ついてきたんだけど、すれ違う男みんな振り向くんだよ。すごくね?ま、浴衣で色っぽさ倍増のせいもあるかと思うんだけどさ、引き寄せるんだねー。男を」
お猪口片手に頬杖をつきながら語る佐藤くん。ひとりアワアワする飯山さんには気づいていない。
「まぁねー。肌綺麗だしさー。黒髪綺麗だしさー。顔立ちもいいし、見た目大人しそうだから目ぇ引くのかもしれないけど、俺のタイプじゃないから。ごめんね!」
アハハッ!と、笑えない冗談でしめた佐藤くんに
「……それはどうも」
と、当たり障りのない言葉を返しておいた。
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