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「あ、お風呂。お風呂すごく良かったね。りんご風呂!香り、すごくて!でもあれ、食べたらマズそうだよねっ!」
平然としながらオレンジジュースを飲む私に対し、酔いがすっかり覚めてしまったらしい飯山さんが慌てて話を変えた。
「……」
仲居さんがいるところで『マズそう』はまずいだろう。
空のビール瓶を片付ける仲居さんを横目に見ながら、残り少なくなったオレンジジュースのグラスを、テーブルに
トン――…と、置いた。
「え。傷もアザも跡もなかった?本当?」
飯山さんの努力を無視し、話に割り込んできた、柔らかく甘い声。
「え?」
と、すかさず反応した彼女。
「おかしいな。雛森、右のお尻に古傷がある筈なんだけど」
彼がしようとすることは
いつも
「気がつかなかった?」
理解できない。
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