time-keeperは眠らない

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  “Tickーtack商會の時計は素晴らしい” 毎日が忙しなく過ぎ去り、心地好い目覚めの環境から随分と遠ざかってきた頃、ふと浮かんできたこの言葉。 いつ耳にしたのか。それとも何処かで目にしたのだろうか。電子冊子を立ち上げ調べてみたものの、それらしい記述は一切見当たらなかった。 素晴らしい時計、という謳い文句は大変興味深いのだが、あまりにも少なすぎる情報ではどうすることもできない。 悩んだ挙句、その旨を便箋に記し、封筒に宛名を"Tickーtack商會様"とだけ書き、風の郵便箱へ投函した。 コンクリートで造られた無機質な自宅に、青碧と生命力の漲る苗木が届いたのは、それから一週間程が経過した後だった。  
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