第1章

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"感情" それが知りたくて、ただ自分のその思いだけで、僕は人を傷つけ続けた。 傷つけているなんて、考えもせずに、知っていたとしても関係なくて。 ただ、自分に一番足りない"感情表現"が知りたくて欲しくて、何人何十人と犠牲にしてきた。 誰か教えて。 そんな心の叫びなんて誰にも届かない。 僕はなんで分からないの。 そんな疑問誰も答えてくれない。 『知りたいなら、自分で確かめてみろ!!』 けど、最後の一人は―――"僕を見て"そう言った。 恨んでもいい相手を僕から助け、そいつに向けていたナイフを自分に向けて見ろって、自分で確かめろって。 データを見るんじゃない。自分自身で。 俺に教えてくれると言った。 俺に分かるまで教えてくれる。 一緒に居る中で、教えてくれる。 『ハイジにはちゃんと感情も分かってるから大丈夫だ』 優しく微笑んでくれる。 僕が傷つけ、けれど僕を救ってくれる人。 一人ぼっちだった僕を救ってくれた優しい人。 僕の一番大切な人になった。
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