第1章

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「おはよ。四之宮」 乾尚弥。 中学の時から同じのエスカレーター組の一人だ。そして、僕に話しかけてくる物好き。 今となっては話しかけてくる人間は増えてきてはいるけど、乾の場合は虐めの主犯が元乾の取り巻きの様な奴だから"物好き"って言える。 幼馴染かなんかじゃなかったっけ。 興味ないから忘れたな。 「…なんでいるの」 「なんでって、言い方があるだろ」 「なんでこの時間にここにいるの」 言い換えて言う。 なんでこの時間に学校に入っているのか、を問いたいだけだ。乾は野球部に入っている。朝練やらで朝から練習をしている運動部が、まだ朝のミーティングやらなんやらをやっていそうな時間に、何でいるのかを問うてるだけ。 「四之宮が見えたから、速攻で着替えて来ただけ」 「気持ち悪」 「仕方ねぇじゃん。同じクラスならまだ我慢できるけどさ」 ブツブツ文句を言う乾。 中学とは違い、身長が伸びて僕よりはまだ小さいけど、視線が近くなった。体格もよくなり、人気だったのがまた人気になっている。 後輩とかにも憧れを持たれ、先輩達にも信頼を置かれ。 世の中、上手く行っている人間って乾の様な奴だろう。 そんな乾がなんで僕に構うのか。 虐めの原因だって、地味に乾のせいだしな。 「じゃ、僕ここだから」 「ちっ、もう着いたか」 舌打ちをする、乾を無視して勝手に別れていいだろうか。 いや、そんな事したらギリギリまで教室に居そうだな。 それもそれで嫌だと思ってしまう。その理由は、スキンシップが年々多くなってきていて正直ウザいからだ。 「ここに居られても迷惑」 「んー!ん~~!!あ、昼。一緒に食わねぇ?」 「…いいよ」 唸って思いついた言葉に対して僕が了承する。 そうすれば、阿保面の乾だ。 「いいの?」 「いいよ。別に」 「だっていつもは逃げるじゃん」 「逃げてないし」 乾を避けている訳でなく、約束もないのと虐めをする輩がウザくてさっさと大事な物だけ持って何処かへ行っているだけだ。 「別に、友達と食べるの変じゃない」 って、広樹が言っていた。そこを言ったら乾が言わないから言わないけど。 「まじ!やった!!昼!約束だからなっ!」 「分かったよ。面倒だから僕がそっちに迎えに行く」 「まじで!?分かった!」 テンション高い…。
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