第1章

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『お前って最低だな』 ハッと目を覚ましたその視線の先には青い空 果てしない青が続いている 6月初旬の今日は7月中旬並の気温だ 本日は晴天、雲一つもない いつの日か聞いた未だに記憶に残り続けるあの言葉は ”あの日”から俺の時間軸を止めている 「いい天気だな…」 昼休みだったはずだが、5時間目が始まっていた どうやら俺は寝過ごしたようだ 授業へ行こうと腰を浮かし立ち上がる 寝ていたせいか汗がすごい フワッと心地よい風が気持ちが良かった 「さて、行くか」 一歩を踏み出し校舎へ歩き出す それにしても暑い…7月中旬並って言ってたが、本当は真夏日じゃないのか? まぁ、こんな暑い中外で昼寝をしていれば暑くなるのは当たり前か キーンコーンカーンコーン… そんなことを考えているとあっという間に5時間目が終わってしまった 「あー…終わっちゃった…5時間目ってなんだったっけな」 「数学だよ」 頭上から聞こえてきた声にバッと顔を上げる 「でも自習だったから大丈夫だと思うよ」 「高遠…」 見上げた先にはクラスメイトの高遠潤一 気の上に登ってまったりとしていた 「樋口サボり?俺もなんだーw」 「いや、俺は…」 サボってたわけじゃない と、言おうと思ったが寝ているのをきっと見られていた 今俺が何を弁解してもただの言い訳にしか聞こえないだろう 「そう…なんだ。眠かったし」 「でも暑くね?今日。」 「そうだな。7月中旬並らしいぞ」 「へぇ~どうりで蒸し暑いわけだwww」 服の襟を掴みパタパタと服の中に空気を送り込む高遠 高遠は結構なサボり魔だ 授業出ているのをあまり見たことない だが、体育だけはよく出ている。そのおかげか、それとももともとなのかかなり体格はいい。男としては羨ましい限りだ 一方俺は男の割に華奢な体つきをしている。コンプレックスでもある そんなことを考えているとフッと影が出来る 見上げると高遠の顔が至近距離にあった 「なっ、なんだよ…」 「ねぇ樋口」 サァ… 二人の間に涼しい風が吹き それと同時に高遠の口が開く 「樋口って…三浦先輩のこと好きなんでしょ?」
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