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今日は晶族という存在について書こうと思う。彼ら晶族は、僕ら人類とは起源を別にする、珪素を基礎構成とした人類だ。
人形のように美しく整った容姿をしており、肌は白磁のようになめらか。いくら老化しても外見はほとんど変わらないらしい。羨ましいかぎりだ。
反応速度や身体機能、情報処理能力など、僕らのはるか上を行く能力を保持しているが、彼らには『ゆらぎ』というものがないらしい。
僕ら炭素生物のアシンメトリーな不安定さ。それゆえに産み出されるいびつな芸術性。共有記憶領域によって均一化された彼らにとって、それは素晴らしく美しいものに感じるそうだ。
そう僕に語る彼女(彼らには快楽目的以上の性器は存在しないが、体型や服装から女性だと思う)は、先程から何かを切り分けている。
銀紙に包まれた、蒼く透明な、宝石のような直方体の固形物。これは彼らの携行保存食、僕らで言うチョコレートヌガーにあたる食べ物らしい。
どう見ても石にしか見えないそれを、彼女はシャキシャキと小気味よい音を立てて食べている。
……おっと、僕としたことがヨダレを垂らしてしまった。
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