211人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「ゆきちゃん、ゆきちゃん」
「なーに?」
「目瞑って、口アーンして」
厨房で食器を洗ってた手を止めて、駆け込んで来た彼の言われるままに目を閉じ口を開ける。
「はい、口閉じてー」
スッと何やら口の中に入れられて口を閉じると、ポキッと折れる感触がした。
甘いイチゴとチョコの香り。
「あ、イチゴポッキーだぁ」
大好物のその味に、思わず顔がにやける。
「しかも白いよ?」
手にしたポッキーの色がいつもと違って、俺は目の前の彼を見上げた。
「うん、期間限定ホワイトチョコ仕様だって。もうチェック済みだった?」
「ううん。全然知らなかった」
俺としたことが、こんな当たり商品を見逃してたなんて油断してたな。
「今日が発売日らしいよ?」
そっか。今日からか。
なら気づかなかったのもしようがないな。
それにしても…
「どう?美味しい?」
「うん!いつものもいいけど、このホワイトチョコのも美味しい!」
もともとホワイトチョコ好きだし。
イチゴの粒が見えないくらいホワイトチョコでコーティングされてるのがいい!
「ゆきちゃんなら、絶対気に入ると思った。はい、全部あげる」
「え?いいの!?」
「もちろん」
「やったー!」
箱ごと手渡されて、俺は嬉しさのあまり満面な笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!