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忌まわしい夢にうなされて、リビングのソファーの上で目が醒めた。
汗をびっしょりかいている。
若い女性の首を今さっきまで絞めていた、その感触が生々しい。私の両手にかかる彼女の茶色い柔らかな髪、自分のものではない汗、彼女の死相、般若の形相の私……。
「きゃああああああ!」
「先生!どうされました!?」
真っ暗なリビングのドアが開き、若いお手伝いの和(なごみ)さんが飛んでくる。
「大丈夫ですか?…まあ、先生、すごい汗…今着替えを」
明かりがつき、ここが自宅だと改めて気づく…だが、息が乱れて仕方がない。リアルすぎる、不吉な夢。
「お休みになるなら、寝室の方がいいのに」
和さんはリビングのカーテンを閉めていた。お茶会が終わったのは四時頃なのに、日がもうすっかり暮れて、外は闇だ。
「和さん、本当に私…ずっとここにいた?」
「死んだように眠り込んでいらっしゃいましたよ。気のおけないご来客でもお疲れになるものなんですね」
(死んだように…死…)
「和さんは?和さんはずっとここにいた?」
「いいえ、夕飯のお買い物に。あの、いた方がよかったですか?」
「いえ、いいの…大丈夫」
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