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「あー……頭痛え……」
飲み仲間たちと別れた俺は、頭痛のせいか、ふらふらとした足取りでさっき健太を待っていた公園のベンチに座った。
こんなに飲んだのは久しぶりだ……。今日の商談は稀にも見ないくらい上手く行った。あまりの嬉しさに、いつもよりも飲んでしまった。
「う~ん……」
次第に瞼が重くなってきた。やはり酒が入りすぎたようだ。酒を飲みすぎて、逆に飲まれてしまったような気分だ。
「……う?」
今、何か聞こえたか……?
よく辺りを見回しても何もない。飲みすぎで、幻聴でも聴こえたのだろうか?それとも、本当に何かが……?
だが、しばらくしても、何も出てこなかったので、やはり飲みすぎたのだろうと、自決した。
「……そろそろ頭痛も止んできたな」
そろそろ帰るか。俺はゆっくりと重い腰を上げ、隣に置いたバッグを手に取った。
「……誰か居るのか?」
今、一瞬だが、白い手が見えた。まっすぐ、すらっとした白い手。とても綺麗な、女性の手だった。だが、今は何も見えない。俺は首を傾げた。
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