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「ということは、やっぱり誰か居るのか?」
突然、怖くなってきた。既に辺りは陽が落ちて暗くなっている。時計を見ても、深夜2時と、とてもあそこまで綺麗な手をした、美容には慎重そうな女性が起きているとは思えない。勿論、こんな所に居ることはありえないだろう。
「誰か居るんだな……?出てこい……出てきてくれ!」
だが、まだ誰も出てこない。おかしい。やはりおかしい。今すぐここから離れるべきだと、俺の脳が警鐘を鳴らしている。気付いた時には、俺はカバンを両手でしっかり抱えたまま、走り出していた。まだ酒が完全に抜けきってないせいで、すぐに息が荒くなる。くそ、やはり俺も歳か……。
それかは何事もなく、家に帰ることが出来た。玄関の扉に鍵を掛けると、口から安堵の溜め息が出た。あんなに走ったのは久しぶりだ。今日は疲れた、早く寝よう。そう思った俺は、風呂に入り歯を磨くと、すぐに床に着いた。すると、不思議とさっきまでの恐怖が何だったのか、すぐに意識を落とした。
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