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それは、美しい悪夢だった。
空はまるでルビーのように紅く紅く染まり、それを二分して割るように広がる闇のような暗雲の下で、稲妻のように走る無数の光が残酷なまでに美しい。
その下で断末魔をあげながら、身をよじり沈みゆく大陸。
一瞬の出来事になすすべもなく戸惑い右往左往しながら地震・津波の襲い掛かる牙に、飲み込まれていく大勢の人々の叫び声。
巨大な渦巻きが大陸を飲み込んで行く様は、まるで星の消滅と似ていた。
「何故……多くの人を巻き込んで、このような運命を辿らねばならなかったのだろうか」
最期に抱いたのは、
そんな無念の想い――――
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